2020年の総括を書く。年始に1年のテーマを設けなくなったことがハイライトだった。これは今年一番の慧眼だと自認している。また,人生経験が増えるに連れて人生は予測しないことに多分に影響を受けることが分かってきたことに依る当然の帰結だとも自覚している。年始にテーマを設けなくなった一方,年末に総括を書いても良いと考えた。ただし,学期毎に振り返りを書いているので,年末に総括を書く場合には1年のハイライトを書くに尽きる。そのハイライトは,年始に1年のテーマを設けなくなったことになる。すなわち,これまでの方針を転換する年始の決定が功を奏した1年だったと言える。学期毎の詳細はそれぞれのログを参照して欲しい。HAPPY HOLIDAYS.
PROFILE
淡野将太です。専門は心理学です。琉球大学で准教授を務めています。
Syota TANNO Ph.D., Associate Professor, University of the Ryukyus, Japan.
Curriculum Vitae
淡野 将太 (2025). 小学校における宿題と成績の関連から指導と評価を考える 指導と評価, 843, 56-57. (Tanno, S. (2025). Homework, academic achievement, guidance, and evaluation in elementary school. Educational Evaluation and Guidance, 843, 56-57. In Japanese.)
Tanno, S. (2024). Sabbatical experiences and beyond: Enrichment and integration in psychology research and education. Bulletin of Faculty of Education University of the Ryukyus, 105, 71-74.
2020-12-28
The fresh food people
食料品の買い出しに出掛けた。食料品の買い出しは手間ひまがかかりコストとなる。だが,ウォーキングに組み込んでついでの案件にするとコスト感が小さくなる。また,その時の体調で食べたいものを選択できる。さらに,自身で現物を見ることで食品の鮮度が確認できる。オンラインショップや目利きが可能な人にオーダーする方法もあるが,そこまでするなら日頃から通っている信頼できる飲食店の中からその時の体調に合わせて店を選んで食べに出掛けた方がコストが小さく話が早いと思う。
この日はあぐーを煮込んで食べることにした。私は豚肉ではあぐーが好きである。とんかつ屋の豚々ジャッキーのあぐーロースかつが美味で惹かれた。そして,自炊でもあぐーを調理していかに美味しく食べられるかを検討している。玉葱,サラダ菜,鶏卵,あぐーロースを買い物籠に入れた。
調味料として黒糖を使うため菓子が並ぶ棚に向かった。黒糖を調味料に使って柔らかく煮込んだあぐー豚を食べたいと思った。沖縄は多種多様な黒糖が安価で販売されている。形状では板状,一口大,粉末状などがあり,製糖後無調整のものがあれば水飴などで調整したものもある。そのまま食べたり調味料に使ったりソースにしたりできる。
黒糖を選んでいると「すいません。」と声を掛けられた。食料品の買い物中に声を掛けられるのは通路を通る際の愛想であるケースがほとんどである。あるいは,次点として,棚の上方にある商品の手渡しを依頼されるケースがある。だが,その声は前方や後方ではなく,通路を曲がった角度のあるところから聞こえた。
「そのバッグ,Australiaのバッグですよね?」と言われた。私はAustraliaのスーパーマーケットであるWoolworthのショッピングバッグを愛用している。ショッピングカートにかけていたバッグが目に留まったらしい。AustraliaにはWoolworthとColesという著名なスーパーマーケットがあり,そこそこの熱量で買い物するならどちらかに行くことになる。Woolworthのショッピングバッグは大容量で保冷仕様なので便利である。沖縄は亜熱帯気候で1年の3分の2は生鮮食品の輸送に配慮が必要なのでこのバッグは重宝する。これは2年前に購入したものである。私は旅先でショッピングバッグやエコバッグを購入することを選好していた時期があった。いくつも購入してあり代替わりしながら継続して使用している。
私もその人も同じバッグを使っていた。その人は「ほら,私も同じバッグを使っているんですよ。」と言ってバッグを提示した。そして,Woolworthのコピーである「The fresh food people」の文字を指差した。その人は「Australiaに住んでいたんですよ。」と続けた。オーディナリな観光旅行のお土産に買ったり貰ったりするものではないのでそうだろうと思った。私は「そうなんですか。私もそうです。Sydneyにいました。」と応えた。その人は「私はMelbourneです。」と言った。
こういうやり取りは非常に珍しいので,その人と別れて買い物を続けながら珍しいことがあったなあと生理的覚醒が高まった状態が続いた。話しかけられるとは思っていないので心拍数が少し上昇した。その人の話し方に英語訛りが入っていたなとも思った。その人が連れていた幼児が可愛かったなとも思った。
店を出て家に向かう道を歩きながら,Australiaでecologyを考えた経験を思い出した。10年ほど前にAustraliaで在外研究をしていた時,体格が幾分か大きく食料品をたくさん消費することに加えて,週末にまとめ買いをする人が多いAustraliaにおいて,ショッピングバッグを10枚ほど使って買い物をする人を見たことがあった。持参したショッピングバッグを使うこと自体が環境に配慮した行動か否かは議論が分かれるところであるし,私自身も保冷力を支持して使っているだけだが,環境にポジティヴなことだとしても大量のバッグが生産され使用されることも事実である。大量に買い物をする人を見て,地球規模で考えると人間が存在する限り物を生産し,消費し,廃棄するため,現状を改善する観点における究極的な「エコ」は地球人口が減少するか人類が滅亡することだと指摘する知見に同意した思い出がある。LOHAS(lifestyles of helth and sustainability)とはよく言ったもので,持続可能という言葉がキラーとなる。
家に帰って冷蔵庫に食品を納めながら,今回のやり取りから人間関係を考えた。嗜好が同じとか物理的に近くにいるということで深まる関係がある。「同じバッグを使っているんですよ。」という言葉で始まる会話がある。今回のやり取りは,同じバッグを所有していることで声を掛けられ,過去の同様の経験に関する会話につながった。思い返せば,幼稚園や小学校の頃は,近所に住んでいるという理由で遊んでいた友人がいたり,身長順で並ぶ際に近しいところにいるという理由で交流がある同級生がいたりした。人間の営みとして自然なことである。最近の私はそのやり取りが少なくなっている。改めて興味が出てきた。
あぐーは煮込んで豚丼にして食べた。黒糖のコクが効いて美味しかった。
2020-12-24
沖縄の興味深い話
石垣島に住む卒業生が沖縄本島に遊びに来たので遊んだ。彼女とは何年も会っていなかった。私の以前のビヘイヴィアで連絡先も削除していた。ここ数年,私は人脈を重視するようになった。以前は違和感を覚えていた道具的(instrumental)な関係も,返報性(reciprocity)の観点から見れば人間の本来的(authentic)なビヘイヴィアである。話が分かる信用できる人であればそのような関係を構築しても良いと考えるようになった。慣習的であれ宗教的であれ何かしらの修飾をしていても社会が根本的に損得で動いているなら,慣習的にも宗教的にもコミットメントがない私が究極的に得をする人間関係を構築するとどうなるか試したいと思った。そこで,私は話が分かる信用できる人たちと関係を構築維持し,自身が獲得可能な得を最大化する試みを展開するようになった。相手も相手で私から何か引き出し得すれば良い。彼女は返報性に自覚的であり,提供してくれる資源が豊富で,沖縄で持っている人脈が広く,非常にアヴェイラブルな人物だと考えた。知り合いの学生を介して彼女のLINEアカウントを復活させた。この旨を連絡すると「将太先生,LINEアカウントを削除していたってどういうことですか!これはもう喧嘩ですよ!」みたいなことを馴れ馴れしく言われた。何年も連絡していないのにどうしてそんなに馴れ馴れしいのかと思ったが,今では変節しているもののこちらもギルディに感じているところはあるのでおあいこである。そして,今回沖縄本島に遊びに来ると言うので会うことにした。
北谷にあるTIMELESS CHOCOLATEでチョコレートフラッペを飲んで話をした。ここのチョコレートは美味しい。全力でおすすめできるチョコレートである。ただし,その辺にあるコーヒーチェーン店のチョコレートドリンクが飲めなくなるので覚悟が必要である。まあ,コーヒーチェーン店ではコーヒーを飲めば良いだけのことである。
ハイライトはパスポートの話であり沖縄の興味深い話として感心した。それは彼女が海外旅行に出掛ける前日の出来事だった。目的地へのフライトが那覇空港を朝早くに出発するため,彼女は前日に石垣島から沖縄本島に来て前日泊をする予定を組んでいた。その前日泊をする日の夕方,彼女はパスポートを家に忘れたことに気がついた。危機的状況である。Carlos Ghosnでなければパスポートなしでは出国できない(いや,Carlos Ghosnは勝手に出国したがパスポートは所持していたかもしれない)。海外旅行出発時のパスポートに関する失敗談は世界に山のようにある。空港のチェックインカウンターでパスポートがないことに気づき旅行できなかったとか,パスポートを忘れたので出発を翌日に変更したとか,パスポートを家に取りに帰って後続のフライトを予約し直して出発したとか,忘れたパスポートをバイク便で空港まで輸送したとか,色色な話がある。彼女が採択できる最良のオプションは,家族に依頼して石垣空港発那覇空港着の最終便でパスポートを届けてもらう方法だった。郵送や宅配便では間に合わないので誰かが手に持って届けるしかない。家族に連絡し,方法を考えた。家族が持参する方法もあるが,沖縄本島に宿泊して翌日石垣島に戻るのは非現実的でそれこそ最終手段である。そこで,家族がパスポートを持って最速で石垣空港に向かい,最終便に搭乗する乗客に依頼することにした。乗客の中にひとりくらい知り合いがいるだろうという目論見である。実際,乗客の中から知人を探し出し,彼女にパスポートを届けるよう依頼した。そして,託されたパスポートは空を飛んで那覇空港に着いた。ここで那覇空港で彼女が受け取ったと思うのは早計である。彼女はその時,在日米軍基地内の施設にいたので那覇空港には行けなかった。そのため,そのパスポートはさらに人に預けられ,その後彼女の手に渡った。ドラマティックな展開である。これは沖縄だから,そして,石垣空港だからできたことだと考えられる。どこかで誰かと繋がっている沖縄の石垣島の人間関係が可能にした。貴重品であるパスポートを託されて届ける任務を急に頼まれて引き受けた好意も感心できる。沖縄は困っている人に施しをする慣習がある。難病患者の支援募金などが盛んなのは特徴的である。乗務員に内密に輸送を依頼する方法もあるかもしれないが,アカウンタビリティやコンプライアンスが強調される昨今においては私的に貴重品を輸送する好意は非現実的である。ただ,私としては,沖縄は本土と比較して25年ほど遅れがあり旧態依然な点があると見ているので,脱法的ムーヴも可能かもしれないとも思う。他の空港では今回のようなことは可能だろうか。羽田空港でもできなくもないが,羽田空港でするとすれば,知人を探し出すことはおそらく無理だろうから,何かの共同体のメンバーや親切極まる人に依頼することになるだろう。託した後は信じるよりない。
この話の他には,石垣島には映画館がなく劇場版「鬼滅の刃」を今回沖縄本島でやっと観れた話,石垣島では人間も愛玩動物も白内障が頻繁に問題となる話,職場にいるいけ好かない年長者との戦いに関する話,最近モテ期が来ている話などをした。何年も会っていなかったので話すことは山ほどあった。
興味深い話が聞けて良かった。チョコレートフラッペを飲んだ後はスパークリングワインを飲んで遊んだ。私が沖縄に来て4年半が経過した。沖縄の海や空など自然を筆頭とする沖縄の良さを満喫できるのは良いが,沖縄の人のtrash moveが目について辟易していたところがあった。だが,今回,良いところもあるじゃないかと思った。パスポートを忘れなければ出来しなかった状況であり,そもそも私はこのような不準備は嫌いだが,実際に危機的状況が訪れた時にどのように対処するかは生きていく上では重要であり,具体的な話が聞けて良かった。機会を見つけて遊ぶことにした。沖縄のローカルなことも教えてもうことにした。久しぶりに会って遊べば楽しい。話が分かる信用できる人たちと関係を構築維持する方針を継続しよう。
2020-12-21
Apple Silicon M1搭載MacBook Pro
Apple Silicon M1搭載のMacBook Pro(i.e. MacBook Pro 13-inch, M1, 2020)を導入して快適に作業している。このPCはM1を搭載した最初のモデルである。私はコンピュータに関してはその能力の僅かしか使わないエンドユーザであり,文書作成,ブラウンジング,写真閲覧,音楽再生,AirDropがスムースにできれば文句はない。モバイルデヴァイスならバッテリが3時間ほど使えれば事足りる。今回のモデルはそれを満足させるものだった。毎回のモデルチェンジで着実に性能が向上し,安定して作動すれば良い。劇的な革新はあれば僥倖くらいに認識していて期待はしていない。因みに,このデヴァイスは11月にオーダーしたが手元に届いたのは1か月ほど経ってからだった。
2020-12-17
沖縄の天気予測決定版
沖縄の天気予測決定版は,気象庁が提供する天気図,降水ナウキャスト,アメダスのデータ,沖縄県内で公表されている公的私的ライヴカメラ映像,そして,観天望気で3時間先まで予測する方法である。沖縄の気候や天候について時時書いてきたが,これが決定版である。難しいことではない。PCやiPhoneで諸諸のデータを常に開いておき,必要な時に参照できるようにしておくだけである。アヴェイラブルなraw dataを参照し,最終的に空を目視で確認すれば良い。曇天続きでも晴れ間を見つけてウォーキングができるのはこの検討によってミクロな天気が予測できるためである。raw dataが無料で入手できるのだから天気に関するアプリやサイトの有料会員登録など必要ない。沖縄は海に囲まれいることに加えて標高の高低差がある関係で諸諸の概観的天気予報はあてにできない。天気予報で「沖縄本島中南部,降水確率50%,南の風やや強く晴れ昼過ぎからくもり所により昼過ぎから夕方雨」と予報されても活用しにくい。天気予報は統計的の話なので仕方ない。マクロなことは分かってもミクロなことは分かりにくい。
2020-12-14
やっと晴れた沖縄
11月の終わり頃に沖縄がやっと涼しくなったと書いたが,涼しくなってから3週間ほど曇りと雨が続き,この週末にやっと晴れた。私は体調管理においてはセロトニン(serotonin),メラトニン(melatonin),ヴィタミン(vitamin)の分泌の観点から太陽光を浴びることを重視している。曇天続きでも晴れ間を見つけてウォーキングで代謝を調整しながら太陽光を浴びるが,それでも3週間曇りと雨が続くとだるかった。週末はスッキリ晴れて気持ち良かった。存分に太陽光を浴びた。
保管対象のジーンズの洗濯もできた。私は着古した服は旅行先で捨てたり部屋掃除で使って捨てたりするが,履き込んだジーンズだけは洗って干して保管している。
2020-12-10
提示方法
国の「Go To Eatキャンペーン」の一環である沖縄県内の飲食店を対象とした「Go To Eatキャンペーンおきなわ」が11月に始まった。公式の記述を借りると「購入額の25%分を上乗せしたプレミアム付食事券」を利用できるキャンペーンである。
私はこのキャンペーンを存分に活用している。私は面倒くさがりで手間を大きなコストと見なす。普段から書店などで販売されているクーポンブックや店の食事券的サムシングは,期間や対象店舗や利用金額の制限が多く行動が制約されるので購入しない。グルメサイトを対象とした国の「Go To Eatキャンペーン」もサイトが乱立していて利用しにくかった。だが,このキャンペーンは違う。期間が長く,対象店舗が多く,最低利用金額1,000円という制限はあるが利用上限額も購入制限もない。
購入額の25%分が上乗せされるのは得である。いつも食べている1,000円の定食が800円で食べられる計算,あるいは,いつも800円で食べている沖縄そばはトッピングを追加して1,000円まで食べられる計算となる。5,000円のコース料理なら4,000円で食べられる。先日は20,000円のパーティを16,000円で開催できた。
なんだかこじんまりとした計算の話に聞こえるかもしれないが,これは四則計算の域を出て味わうことで心理学が見えてくる話である。公式のコピーに採用されている「購入額の25%分を上乗せしたプレミアム付食事券」という表記は「表示額の20%引価格で購入できる食事券」と表記することも可能である。割合を大きく提示するなら上乗せを採用した方が良い。景気は気持ちの問題だと言われる。提示方法で印象が変わって市井の人人がより消費するようになるならばその方がキャンペーンの趣旨に適っていて良い。
沖縄の適当さも実感できる。このような事業ではなぜか地名を漢字ではなくひらがなで表記することがあり,何か意味があるのかと気になった時にこまめに調べているが,多くは特別な意味などなく採用されていることが分かって最近はどうでも良くなってきた。もしかすると「購入額の25%分を上乗せしたプレミアム付食事券」という公式のコピーも適当につけたのかもしれない。
2020-12-07
県内旅行
11月の涼しい日に県内旅行としてドライヴした。沖縄本島をAQUAで走り回った。
今帰仁城跡,座喜味城跡,勝連城跡,中城城跡を訪れ,景色を堪能した。いずれのグスクも戦略性から高台にあり見晴らしが良かった。晴れると海の青と空の青と亜熱帯植物の緑が映えた。曇ると台無しだった。いずれのグスクもUNESCOの世界遺産として指定されているがその点を強調しない点が評価できた。UNESCOと言えども外部指標のひとつに過ぎない。世界遺産は指定が遅ければ遅いほど利権の色が濃いので面白くない。1970年代から80年代にリスト入りしたものとここ数年でリスト入りしたものはおそらく等価的に見られていないし,これから推薦するものは尚更である。だからと言って1970年代から80年代にリスト入りしたものが優等だとも思わないし,それらが利権の色がないと言っているわけでもない。以前,沖縄県が世界遺産登録を目指した案件が頓挫した際に「準備不足だった。」と関係者が発言していたが,沖縄ではそのようなことは日常茶飯で私は驚かない。沖縄では県政レヴェルで義務教育段階の「よくがんばりました」的な感じで褒められることを目的としたようなプロジェクトが珍しくない。「関連する予算が使えて良かったね。」というシニカルな声もあった。勝連城跡では上空を米軍のV22オスプレイが飛行し,中城城跡では上空を米軍のCH-53Eスーパースタリオンが飛行していた。写真に撮って人に見せると「世界遺産の上空を戦闘機が飛行するのは残念だ。」と言う人がいた。何が残念なのか。グスクは当時の要塞としての城であり,現在評価されているその構造は敵に攻め入られて殺されないための造りであり,また,敵に攻め入られた際には殺しやすいための造りである。すなわち,軍事の妙である。遺産として評価されている点を失念すると本質を見失う。上空を飛行する戦闘機が遺産を空爆して破壊すれば問題であるが,新旧の軍事が並んだだけである。シンプルに上空を米軍の戦闘機が飛行することが残念であれば,問題は日米同盟であり日米地位協定である。時に沖縄上空における戦闘機飛行を見てUnited Statesの政策を批判する人がいるが,自衛隊の戦闘機も飛行するのでその発言は論点が違う。自衛隊機を見て警察予備隊から自衛隊の編成と現在に至る変遷に関してUnited Statesの政策を批判しているのであれば詳しく話を聞いてみたい。私は戦国武将ファンや歴史好きの「歴女」といった人に違和感を覚えることがあるが,戦闘行為を前提とした立ち居振る舞いや今では到底認められないような非人道的非倫理的な価値観の上に成立していたビヘイヴィアを短絡的に称賛する配慮のなさが見える時にそう思う。
1年ぶりに美ら海水族館を訪れた。年間パスポートを更新した。美ら海水族館は生物の飼育展示というテーマを失念しない配慮がある点を私は評価している。すなわち「魚やイルカで客を呼んで金儲け」ではなく「魚やイルカの生態展示とそれにかかる管理運営費の徴収」というスタンスである。私もそのひとりであるが,水族館好きな人からすると,美ら海水族館は立地条件や設備で世界の著名な水族館に比肩するが,展示やショーの迫力はいまひとつと言える。それは,生物に負荷が大きい飼育や脱法的展示を良しとしない配慮がそうさせていると私は考察している。どことは言わないが,私は倫理的に問題があるショーを展開している施設を国の内外で何箇所か知っている。美ら海水族館はソーシャルディスタンスを生物の体長で示す工夫を随所で見せ,望ましいとされている2mのソーシャルディスタンスを「タマカイ1匹分」と表記したり「ジンベエザメの頭2つ分」と表記したりしていた。
中部の海沿いと南部の丘陵地をドライヴした。普段から何気なく青い海をドライヴで満喫できるのは沖縄に住む長所であり,私が沖縄にいる理由のひとつである。南部の豊見城市,糸満市,南城市,島尻郡では走ったことがない道を優先して走り回った。交通量が少なく信号も少ないので快適に走り回った。サトウキビヴューを満喫した。サトウキビだけでは物足りないので帰り道では大体海沿いを走ってシーヴューを楽しんだ。沖縄市や金武町は結局ドライブしなかった。今までほとんど走ったことがないので走りたいと思ったのだが,走る必要がないから走ったことがなかったのであり,改めて何をしに行くかと考えて目的がなかったのでやめた。渋滞に巻き込まれても面白くない。
2020-12-03
藤井猛著「藤井猛全局集 竜王獲得まで」は秀逸
藤井猛著「藤井猛全局集 竜王獲得まで」は秀逸である。私は観る将棋ファンで,特に戦法の進化とプロ棋士のビヘイヴィアを注目している。将棋は戦いであり戦法の進化は軍事をはじめとする攻撃行動の論理とリンクするので興味深い。また,天才業と言われるタレント集団においてプロ棋士が何を考えどのような人生観を持っているのかも関心事である。ついでに,将棋と関連する日本文化を学ぶ機会にもなる。将棋の心理学的に興味深い点は授業でも文脈に応じてフィーチャーする。今回読んだ藤井猛著「藤井猛全局集 竜王獲得まで」は,振り飛車戦法の革新的戦法「藤井システム」が確立されるまでの経緯と藤井猛九段の思考に関する自叙が山盛りで1度で2度美味しく秀逸だった。感動で震えた。良き。